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2011/02/01

SHARP、GALAPAGOS(ガラパゴス)の哀れをもよおすテレビCM

最近やたらとシャープの電子書籍端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」のテレビCMを見かける。CMを見るたびに、ますます何を売りにしたいのか分からなくなる。

ここで言っている「GALAPAGOS」は3G通信非対応、つまり携帯電話として使えない、純粋な電子書籍端末の「GALAPAGOS」のことだ。

テレビCMを見ていると、寝ているあいだに枕元に置いておけば、GALAPAGOS(ガラパゴス)に自動的に新聞や雑誌が配信される、かのように見える。

ホテルの窓際や、ダイニングの食卓に置いておけば、勝手に新聞や雑誌や書籍が入ってくる、かのように見える。

このCMを見て、これはカンタン便利だと勘違いしてしまう人は、間違いなくITに詳しくない人だ。

カンタン便利だと思って家電量販店に行き、「GALAPAGOSを下さい!」と店員に言った瞬間から、なかなか厳しい日々が始まる。

まずは、「え?いま持って帰れないんですか?」という事実につまずく。いちいちインターネット経由などで申し込みをして、製品が届くまで待たなきゃいけない。

そして、いざ製品が届いてから、初期設定をしようとして気づく。

「無線LAN?」

じつは自宅のインターネット回線を無線LAN化するという作業を、まずやっておく必要があることに気づく。ITに詳しくない人が、製品が届いてからそのことに気づく可能性は十分ある。じっさいは量販店の店員が説明しているはずだが。

仮に親切な店員が無線LANが必要だということを、ていねいに説明してくれたとしても、疑問が残る。

携帯電話みたいに電波を拾えばいいじゃないか。どうしてわざわざ無線LANの機械を購入する必要があるんだ?それに、どうやって無線LANの機械を設定すればいいんだ?

そして家電量販店の無線LANのコーナーに行ってみると、さまざまなメーカーの、さまざまな種類の機器がズラリとならんでいる。

「今まで壁の挿し込み口に、パソコンからネットワークの線を直接つないでいたのに、その口に無線LANの機械をつないでしまうと、パソコンでインターネットが見られなくなるじゃないか」などなど...。

正しくは無線LAN「ルーター」を買わなければいけないのに、間違ってただのHUBや、無線LANの子機や、USB機器を無線化するアダプタを、間違って買ってしまうかもしれない。

なんとか無線LANルーターを購入できたとしても、最低限のIPアドレスの知識がないと、無線LANルーターの管理画面にたどりつけないかもしれない。

説明書どおりに設定できたとしても、お隣さんや、道行くモバイラーにかんたんにタダ乗りされたり、最悪の場合、設定変更されるような設定にしてしまうおそれもある。

たとえば、無線LANルーターの管理者用パスワードを、初期値のままだったり、「1234」にしてしまうなど。

なんとか無線LANルーターの設定ができても、GALAPAGOS(ガラパゴス)端末をルーターに無線で接続する設定ができるかどうかが、また別の関門になる。

シャープがYouTubeで公開している動画は、AOSSの自動設定について説明しているが、AOSS非対応の無線LANを買ってしまったら、「このAOSSってのは何なんだ」ということになる。

長々と説明したが、あのテレビCMを見てGALAPAGOS(ガラパゴス)に飛びつく程度に、ITに詳しくない人たちが、果たして自宅の無線LAN構築から、GALAPAGOS(ガラパゴス)をWiFi端末として認識させるところまで、すんなりとできるだろうか。

さらに言えば、仮に家庭内の接続には成功したとしても、テレビCMにあったように、出張先の海外のホテルで日本の新聞を読むために、自宅とはまったく違う環境で、すんなりGALAPAGOS(ガラパゴス)を無線LANに接続できるだろうか。

海外のホテルの無線LANはAOSSではないかもしれない。Yahoo!BBのWiFiサービスのように、いったんウェブブラウザの認証画面から、ホテルが指定したユーザ名とパスワードでログインする必要があるかもしれない。

そもそもITに詳しい人なら、GALAPAGOS(ガラパゴス)のような汎用性のない電子書籍端末より、間違いなくiPadやGalaxy Tabなど、汎用性のあるタブレットを選ぶだろう。

百歩ゆずって、IT知識のない人が苦心してGALAPAGOS(ガラパゴス)の設定に成功したとしよう。その次に来るのは、「金がかかるじゃないか!」という不満だ。

今までパソコンや携帯電話で、タダでYahoo!ニュースや、各大手新聞社のニュースを読めていたのに、どうして電子機器でニュースを読むのに購読料を払わなければいけないのか。

書籍や雑誌にしても、紙の本より大幅に安いならまだしも、値段があまり変わらない上に、一覧性の悪い小さな画面で読むことになる。

電子版の雑誌で、写真は固定されて本文だけスクロールする、なんていう小技をつかわれても、紙の一覧性にくらべれははるかに劣る。

また、女性の利用者が、ファッション雑誌を買うとき、印刷版より電子版を好んで買うなどいうことがあるだろうか。

光沢紙に印刷された紙面の美しさや、ページを切り取って保管できること、そして最近のファッション誌のように、手にとれるオマケがあってこそのファッション誌だろう。

いくらテレビCMに、GALAPAGOS(ガラパゴス)を会議室で自慢気に見せる女子社員を登場させても、汎用性のないGALAPAGOS(ガラパゴス)を買う顧客層はきわめて限られるだろう。

iPadでさえ、購入して数週間は外へ持ち出し、友だちに自慢したりしていたが、そのうち使い道がなくなって、ホコリをかぶる例が多いらしい。

iPadのように自由にアプリを選んで、追加インストールできないGALAPAGOS(ガラパゴス)は、なおさらそういった例が多くなるに違いない。

しばらくテレビでGALAPAGOS(ガラパゴス)のCMを目にすることになるだろうが、他のシャープ製品のCMと違って、哀れをもよおすCMになることは間違いない。


*2011/09/15 追記:
僕の予想どおり、このシャープの電子書籍端末「ガラパゴス」は2011/09/15に販売終了が正式アナウンスされた。こちらがシャープの「お知らせ」ページ。もう少し頭を使えばムダな投資をせずにすんだと思うのだが。

>>「シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/09/28)
>>「続・シャープの電子書籍端末『ガラパゴス』は完全にバカげている」(2010/12/14)
>>「SHARP、GALAPAGOSが海外展開するというアホらしさ」(2010/12/31)
>>「SHARP、GALAPAGOSをインドやアフリカの電子教科書に!?」(2011/01/03)
>>「電子書籍なんて、やめてしまえばいい」(2011/01/25)
>>「著作権保護つき電子書籍の普及は、弱者から本を奪う」(2011/02/02)
>>「電子書籍端末って、一体だれが、どこで使うの?」(2011/02/04)

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