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2009/06/03

「事業継続のためのパンデミック対策」は無意味です(1)

今秋あたりに新型インフルエンザのパンデミックが起こるかもしれないということもあり、日経ITProが「いかにも」な連載を始めている。

「危機管理のプロに聞く パンデミック時代の事業継続」

危機管理のプロが、パンデミックを想定してどのような対策を事前に立てておけばよいのか、ありがたいアドバイスをして頂ける連載らしい。

しかし、残念ながら新型インフルエンザのパンデミックに対応して、いかに会社の事業を継続するか、という問題の建て方そのものが、完全に間違っている。

本当に新型インフルエンザのパンデミックのような事態になったとき、会社には、社員の一私人としての行動を、業務命令によってコントロールする権利はないし、現実にコントロール不可能になる。

当然のことだが、社員は被雇用者である前に、一私人である。自分の生命や財産を守るべく、自分の思うように行動する自由を持っている。

現実にパンデミックのような事態になったら、たとえ勤めている会社が倒産しようが、そんなことは知ったことではないのだ。

自分自身や、自分の家族や大切な人、そして財産を守ることを最優先に行動する自由を持っている。

パンデミックのような「異常事態」にあっても、社員は会社の命令どおりに動く、という前提そのものが、根本的に間違っているのだ。

なので、この日経ITProの連載に登場する佐柳恭威という「危機管理のプロ」の語っていることは、完全な「絵空事」である。

そんなこと普通に考えれば分かるだろう?

パンデミックが現実になって、自分や家族が死ぬかもしれないというとき、いったい誰が会社の命令に粛々と従って在宅勤務に精を出したり、「縮退」できない業務だからという理由で、危険をおかして出勤したりするだろうか。

パンデミックのような本当の意味での「非常時」には、ほとんどの人間は間違いなく、一私人としての利益を最優先に行動するだろう。

会社より社会の方が大きいのだ。会社員は会社員である前に、一私人なのだ。

この種の「危機管理のプロ」は、そんな当たり前のことさえ認識できていない。そんな人間に、そもそも本当の危機に際しての「管理」を語る資格などない。

「パンデミック時代の事業継続」などという言葉そのものが、完全なナンセンスなのである。


>>このシリーズの他のエッセーを読む。

「事業継続のためのパンデミック対策」は無意味です(3)

「事業継続のためのパンデミック対策」は無意味です(2)

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